VOL.032
想えば叶う…
2016-17シーズンも残すところ15戦余りと、いよいよ大詰めのシーズンに突入といったところだろうか。
さて、今回は、セカンドシーズンに入り、復活を遂げたと言えるチームをふたつ取り上げてみたい。
まず一チーム目。そのチームは岡崎大会、3日目に久々の決勝進出を果たした。これは傍らでそのチームを見ていた者たちをも歓喜させる出来事だった。そして、先日の伊豆の国大会でも再び決勝進出を果たし、その実力が復活してきたことを強く印象付けた。
土田哲&JAMチーム…
土田氏(どった君と呼ばせてもらっている)と言えば、だれもが認めるパワースローの第一人者で、その力強い軌道には唸らされるものがある。パートナーにJAMを迎え入れ、比較的にゆっくりとディスクドッグに仕上げていく過程で、そのチーム力が固まりつつある中で、愛犬の健康面にトラブルが生じ、しばらく一線から退かなくてはならない時期があった。それでも諦めることなく、医療機関と自身の献身的な食事療法とで徐々に快方に向かい、体力を徐々に整えていく中で、我々の待つコートに戻ってきた。そして、愛犬の走りっぷりを確かめるように自身の最大の武器を封印し飛距離を調整しながら参戦を重ね、いよいよ“走れる!”との確信から持ち前のロングスローを織り交ぜて戦えるところまで持ってきたのである。
岡崎大会では、2日目までは不振だったのだが、ひなちゃん(娘さんの名)に「お父ちゃんとJAM君が活躍するところが見たい!」の言葉に、最終日の居残り参戦を決め、見事に決勝進出を決めたのだった。正に愛する者の言葉に奮起した好例だろう。
パートナーを向かい入れることは、我々ドッグスポーツに身を委ねる者にとっては一大決心を伴うものであるが、それが故にどれだけの想いをもって寄り添い育て上げることができるのか、自分はパートナーに十分な情熱と愛情を注げているのか、ふと立ち止まって考えてみようと思える嬉しいエピソードだった。
そして二チーム目はかつての“リトルジャイアント”を彷彿とさせる活躍を見せた、これまたロングスローで魅了する山本憲斉&我闘チーム。彼らはどんな状況下でも思い切りの良いスローを放ち、それに我闘が果敢に走りこんで豪快なキャッチを決める気持ち良さが光っているのだが、先日のバレンタインカップでの優勝劇は本当に素晴らしいゲームを見せてくれた。決勝戦、左向かい風、どのチームも飛距離を出せず、しかもディスクを右に流される苦しい状況下で、持ち前の思い切りの良いスローイングが冴え、我闘の走りもキレていて、素晴らしいスローがコートど真ん中に4発決まった。その瞬間に振り上げた二本の腕がこの上なく格好良く夕日に輝いていた。伝え聞いたところでは、我闘とのチームを組める時間にやむなく制約が入り、二人の絆に対する強い思いが最近のゲームに反映されているのではないかと勝手に想像している。
これらのチームは事情はそれぞれ異なってはいるものの、愛犬に対する強い想いがそれぞれのゲームスタイルを作り上げているように感じてならない。
想えば叶う…我々もそう信じて愛犬と接していきたいものだ。