VOL.005
風に打ち勝っての初優勝劇
裾野大会は癖のある風に悩まされた大会であった。そんななかで2日目の日曜日、今シーズン初優勝を飾ったチームが多かったのは偶然なのか。
まず、〈スーパー〉クラス。今シーズン初参戦となる林勝利&JAKEチームは、持ち前の柔らかでやや高めの軌道のディスクを風のなかでも投げ込み、他を寄せつけない安定感を見せていた。普通、試合から遠ざかると、いわゆるゲーム感が鈍るもの(少なくとも私は…)なのだが、彼らはそれを感じさせない堂々たるプレーぶりだった。はじめ、長年のパートナーである「リン」とのペアかと勘違いしたほどの安定感が感じられるゲームであった。林勝利&JAKE、今後の成長がますます楽しみなチームである。
次に〈レディース〉クラス。井上美紀&クムも今シーズン初優勝である。こちらはそれこそキレのあるスローイングは周知のとおりなのだが、風向きも強弱もコロコロと変わりやすい難しいコンディションのなか、決して強引ではないがほどよく回転するディスクで、小気味よいテンポのキャッチを繰り返していた。井上美紀といえば、昨年末に〈ドギーズ〉で果たした長年のパートナー「アンナ」との優勝劇がとても印象深い。ご主人とはJAPAN CUPも制したチームではあるが、年齢的にも安易に戦える状態ではないだろう。もともと〈ドギーズ〉で腕を磨いてきたことが、現在、ソナ、クムともに好成績を挙げる原動力になっているのではないだろうか。
続いては〈ドギーズ〉クラス。村松久弘&ピノチーム。こちらは初優勝ではないが、何といっても“強カワイイ“。ご夫婦でにこやかにキャッチに結びつけていくゲーム運びは、見ていてこちらもいつの間にか微笑んでいる。トイプーのサイズにあのディスクを投げてしまうこと自体、大胆な行動であるのに(失礼!)、そのキャッチ力たるや私の某J犬とは大違いである。この日の予選ポイントは、〈スーパー〉クラスでも決勝に残るレベルの高さであった。今、ランキング2位と聞くが、大詰めのランキング争いにも力が入るところ。後半戦の見どころの一つである。
そして、〈S2〉クラス。笠原崇司&Quickチーム。こちらは初優勝! ラブラドール・レトリバー、ボーダー・コリーと組んできた彼のもとに、“巨神兵ブランド”のウィペットが迎えられた。はじめ、その特性にかなり苦労をしていたようであるが、昨年末くらいから徐々にそのゲーム展開が確立されてきているように感じていた。この日の風には持ち球の高い軌道は封印して(というより、Quickには投げてないか…)、風の影響を最小限にとどめるように投げていたように見えた。投げ手は大ベテランながら、戦略を立てるのがちょっと苦手(?)。それでもQuickのスピード力が加わり、ワクワク感があって今後の活躍に期待が持てる。
どのクラスも、見事な優勝、おめでとうございます。いずれのチームとも、コンディションの厳しさに負けない、パートナーを思いやった好スローが光り、そして輝いた一日だったように感じる。私も見習いたい…。