VOL.030
フリースタイルを楽しもう!
先日のスーパードッグスコンペティション長岡大会、初日の天気は生憎だったが、二日目は天候も回復し、まずまずのコンディションのディスク日和となった。今回は、そんな中で繰り広げられた、ディスクドッグの華、フリースタイルに触れてみたい。
ご存知の通り、フリースタイルは自由に構成を練り、好きな音楽にのせてディスクを介して人と犬が繰り広げる最も華やいだディスクドッグの集大成と言える種目である。しかしながら、その華やかな演技であるが故に、興味を持ちつつもなかなか踏み込むことを躊躇するチームが多いのが現状だろう。
今回の注目はデビュー戦の太田シトラス。太田さんと言えば、相棒にはジェラートがいて、ディスタンスではしっかりと実績を積み重ねてきた。シトラスはその妹分として迎えられた後、特徴的な派手なジャンピングキャッチで、コート上の人気者である。今回、その跳躍力がフリーで輝いた。予てより、フリーには興味を抱いていて、かつてトリックスローや技の構成などの私の話にも付き合ってもらっていたことが何度もある。聞くところでは、奥様の香織さんが今回のデビューを促し、背中を押されての出場だったようだが、いざコート上にたつとコートサイドに応援する仲間が何人も何人も駆けつけている。穏やかな性格で人望の厚いのが伺える光景だ(羨ましい…)。
演技が始まると、小気味よいテンポでキャッチを決めながら、得意の跳躍を生かしたボルトが決まる。大きな歓声が上がる。流れが少し滞る場面もあったが、その度にワッと短い声を呑んだ後に応援する声が響く。「ああ、フリースタイルってこういう声援がものすごく嬉しかったよなぁ。」なんて自分がフリーを始めたころの感覚もオーバーラップしてきて実に心地いい2分間があっという間に流れた。デビュー戦とはいえ、実に清々しくて好感度あふれる演技だっと思う。
このシトラスのデビュー効果だろうか、その後のプレーヤーの演技にも多くの目が注がれ、いつもよりも多くの歓声が上がっていたように感じたのは私だけではないだろう。
シトラスよりも一足先にデビューした辻なつみチームもコーギーの可能性を広げてくれているし、フリーに一歩踏み込んでくれるチームが増えつつある流れを歓迎したい。矢野Lyraの参入もその可愛らしい容姿とノンディスクパフォーマンスの妙技で我々には新しい雰囲気を届けてくれ、更にはこの後に続いた鈴木BOLT、野中ROAといった強豪勢の演技も実に軽やかで気持ちのいいパフォーマンスが続いたように感じられた。
また、この日はフリースタイルトライアルにディスタンスでは日本記録も持つ服部紀子ZONといった人気チームがデビューしたことも大きなニュースだったし、渡辺SALTOの高速マルティプルは一見の価値ありだった。
フリースタイルは高度な技も組み合わせてオリジナルの構成を作っていく楽しみもあるが、自分のパートナーにディスタンスとは違った発見が必ず生まれるものである。そういう私は多頭飼いになったのを言い訳にフリーをさぼったままだが、自分を棚に上げても皆さんに言いたい。フリースタイルって見ているだけよりもやってみるとすごく楽しいですよ。
少しでも興味を持った方はまず一歩踏み出しましょう。会場で見つけたフリースタイラーの先輩たちを捕まえてこう言ってください。「どうやって投げるんですか?」
きっと皆さん、笑顔で教えてくれますよ。