VOL.040
成せば成る
Game52川場GⅠ大会において、悲願を達成したTeamが居る。加島幸二&むつがそれだ。
昨シーズンは奥様とペアを組んでいた“むつ”と自身が組んでいた“てつ”を今期からペアを入れ替え、新たな挑戦を続けてきた。それは、決して容易いことではなく、愛犬の性格の違いや長所短所の違いもあり、当然ゲームの組み立て方は変わってくる。事実、ここまで年間ランキングも決してジャパンカップノミネート安泰と言えるような位置にはつけていなかった。
以前、てつとのチーム作りをして行く中でも粘り強く、愛犬を信じて取り組んでいる姿勢を紹介したことがあったと記憶しているが、むつとのチーム作りにも同様の姿勢として、出場する大会において、飛距離を伸ばす試みをしたり、愛犬を鼓舞するような声がけを徹底するなど、随所に工夫を感じ取れる姿勢が見て取れたものである。
そしてついに今回、3位タイから決勝での粘り強いゲームをした結果、逆転でGⅠ制覇を果たしたのである。聞いた話では、デビューから8年、自身初めてのGⅠ制覇とのことであった。
翌日には、その勢いそのままにドギーズサバイバルも制して見せたのには脱帽である。
今大会、正直に言えば、同ペアをパフォーマンスで上回るチームはいくつも有ったように思う。しかし、ディスクドッグは相手チームと戦う以前に自然を相手とし、如何に自分たちのベストゲームを作っていけるかが先ず始めにしなければいけないことだ。(書きながら、私自身の反省しきりであるが…)
それを我慢強く続けてこられたことそのものが、このチームの強みなのだと改めて感じる大活躍であった。
今回の加島幸二&むつの快挙は、ジャパンカップを目指す他チームの良き手本となるに違いない。
成せば成ると言えば、今大会のフリースタイルトライアルにも同様のことが言えるだろう。
今回、12チームのエントリーがあり、そのほとんどが初出場。これは岡祐司&れんとが中心?となり、仲間とデビュー時期を模索する流れが大きくなって実現したと噂されている。
先陣を切った対馬和幸aglaiaは、いきなりのハイパフォーマンスを見せた。そのスピードを生かした演技はトライアルの枠を超えたもので素晴らしかった。岡祐司れんとは、縦フリップを軸にした技数もあり、ほのぼのとした雰囲気ではあるが、れんとを広範囲まで動かして楽しいフリーを組み立てていた。小畑尚子&しゅしゅはシャイなところがありコートに慣れ親しむことを主体にディスタンス系を頑張っているが、フリーはこのチームに向いているのではないだろうか。しゅしゅがとても楽しげに時間内いっぱいコートを走り回っていた姿が印象的だった。橋本さおり&Troncは実に多彩な技を盛り込んでおり、遠隔も取り入れた本格派を感じさせ、Toroncも良く対応しているのに感心できるフリーだった。大塚満寿美&BUNGY!はこのペアの年齢と練習期間たった2週間を考えたら善戦した方だろう。コーチの言うことを素直に聞かないという苦情は耳にするが、楽しげに演技することでフリーの門戸開放に貢献したと褒めてあげたい。高倉芽生&羽陽はフィールドを大きく使ったスピードある演技で、とても躍動感があった。連続技の流れを繰り返して羽陽に覚えてもらうことで、かなり面白いフリーが出来るようになると思う。白濱歩美&禄来は立ち上がりのウォーキングスルーや中盤のジャグリングは見事だったし、多彩な動きを禄来がよくこなし練習量を感じさせる内容だった。ボルト系をテイクからトスに変えれば、上のクラスでも面白い位置に入ってくる実力があるとみる。内田利佳&SIEGは持ち前の運動量の豊富さを存分に発揮した若々しい演技だった。こちらも場数を重ねてSIEGにルーティーンを理解させれば面白くなると思う。松田純子&ひなたは流石のフリー経験者。構成も練られていたし、演技に余裕があった。ボルト系を手直しすれば、こちらも更にレベルアップしたフリーが楽しめると思う。高倉知也&花音は複数ディスクの切り替えに少々苦労したようだが、和也がスキップとエアバンを一押しだったことが良くわかるフリーで楽しかった。野仲大輔&Viviは如何せんトスが上手い。Viviの動きを理解した上で、流石の位置にディスクを投げていた。体の近くに良いトスを上げられる一流を感じさせる演技にViviもよく頑張って対応していたように思う。ぜひ、同じく老犬使いの大塚満寿美に指導していただきたい♪ 最後に登場の木田美花&ラムシナモンは素晴らしいの一言で片付けてはいけないくらい流石の出来だった。ラムの若々しいスピードに負けない連続トス、ディスクを繰り出す位置のバリエーション、ボルトをさせるときのポジショニングの取り方等々、フリーに殴り込みをかける気満々の演技だった。
今回、ほとんどのチームが初参戦と言うこともあり、会場全体がとても注目して見守る中での演技だったので、投げ手も犬もかなり緊張したのではないかと想像するが、会場全体がとても良い雰囲気の時間が流れたと感じられた。
一見、フリースタイルを観戦しているととても高度なモノに思えて自分たちがなかなか踏み込むには敷居が高く感じるものだが、今回身近な仲間が演技してくれたおかげで、背中を押された方も多かったのではないかと想像する。注目度が高かっただけにビデオに納めた方も多くいらしたようだが、最後の二組の投げ手の動き、トスを何回も見返して欲しい。フリーのトスはこういうものだというヒントがゴロゴロ詰まった演技をしてくれた二人のフリースタイラーに感謝する。
あとは西でも平野浩一氏にフリーの裾野を広げてもらうだけである。
いやぁ~、フリーってとっても良いもんですねぇ。