VOL.007
会員番号:632
大石 哲也さん (静岡県)
犬名:Mavis(7歳・♀/ラブラドール・レトリーバー)、アリーヤ(11ヵ月・♀/ラブラドール・レトリーバー)、ジョニー(11ヵ月・♂/ラブラドール・レトリーバー)、ルーク(11ヵ月・♂/ラブラドール・レトリーバー)、ブーマー(11ヵ月・♂/ラブラドール・レトリーバー)
目立った活躍はしないので、知名度は低い私のチームですが、競技歴はそこそこ長くて10年ほどになります。ちなみに、覚えている方はごくわずかかもしれませんが、私の最初のパートナーは小型犬のコーギーでした。
競技をはじめたきっかけは、今から12年ほど前にさかのぼります。「白い砂浜を颯爽と走る黒ラブがディスクをキャッチ…」というドラマに登場しそうな光景に憧れて(動機としては、やや不純?)、ワンコを飼うことにしました。犬種の候補はもちろんラブラドール・レトリーバーです。
ただ、いろいろなところを1年ほど探した結果、なぜかウェルシュ・コーギーの子犬がわが家にやってくることになりました。当初の予定とは違う犬種になったことはあまり深くは考えず、新しく迎えた子犬に「シエル」という名前を付け、いざ白い砂浜デビュー…となるはずでした。しかし、現実はかなり違う路線を進むことになります。
シエルはもともとおっとりした性格で、なおかつ上品に育てた影響なのか、ディスクどころかオヤツの空中キャッチもしないようなコでした。犬の図鑑に「コーギーはディスクのキャッチが得意です」と書いてあったので、投げれば取ると信じていた私には大きな誤算…。とりあえずキャッチを教えようと試みましたが、当時はそんなノウハウなど知らず、まったく進歩がありません。早くも計画は暗礁に乗り上げてしまいました。
ところが、そんな感じで1年が過ぎた頃に転機が訪れます。あるコーギーのオフ会で知り合った方から、「富士川の河川敷でディスクの大会があるから見においで」と誘われました。指定された日時に現地に行ってみると、にぎやかな音楽が流れるなかに、今まで見たこともない光景が広がっていたのです。
何と言っても目を引きつけたのは、ディスクを追うワンコの姿。全速力で走る犬の美しさに興奮と感動の連続でした。すぐに影響を受けた私は「自分も大会に出てみたい!」と思うようになり、再度キャッチの特訓をはじめることにしました。
特訓と言っても、今思い出すと笑ってしまうような自己流の教え方で、時間はかかりましたが、とりあえず8ヵ月かけて空中キャッチができるようになりました。そうなればいよいよ大会に出場です。
大会デビューは東京・夢の島公園でした。夜中の東名高速を3時間走り参加したデビュー戦は、現在のポイントエリアに換算するとわずか1キャッチの1ポイントという結果。それでも目標だった大会のコートでキャッチができたうれしさに、泥だらけになって走ってくれた相棒を抱いて喜んだことは、今でもよく覚えています。
その後、シエルとは8年間、JAPAN CUP出場を目指して大会参加をしましたが、その目標を達成することなく2年前に亡くなってしまいました。現在は、シエルが縁で迎えたラブラドール・レトリーバーのMavisと、その子供たちと一緒に大会参加しながら、にぎやかすぎる毎日を送っています。
この競技をはじめてからの10年を振り返ると、楽しかった思い出はもちろん多くありますが、よかったと思えることもたくさんあります。まずは、たくさんの方と知り合いになれたことです。地元で生活を送るだけでは決して巡り合うことはなかったであろう遠方の方や、年齢の離れた方とも友達になれました。自分とは環境の違う方のお話は、とても新鮮で参考になることが多々あります。
もう1つは、ワンコの気持ちをより考えられるようになったことです。ワンコは人間と同じように感情も豊かですし、同じ親から生まれたコでも個々に性格も違います。普段の生活からいい関係を築いておかないと、練習をたくさんしても大会ではいい結果が出ない場合が多いと思います。お互いの気持ちを考え、理解し、心を通い合わせることの重要性は、この競技をはじめて強く感じました。
Mavisとのペアでは、今年ノミネートされれば5回目のJAPAN CUPになります。もう一度、あの舞台に立てるよう残りのゲームをケガなく戦いきりたいと思います。
大会会場では、技術的なアドバイスは無理ですが、昔話なら多少はできますので、興味のある方はお気軽にお声がけください。
◆次回は、四国は香川の人気チーム、福家章さん・美智子さんご夫婦です。